2025.12.05
【前編】SEOの終焉?AIOとAEOで変わる検索トラフィックの実態と次世代マーケティング戦略
検索の世界に何が起きているのか
最近、Google検索したとき、なんか様子が違うと思いませんか?
検索結果の一番上に、やたら長いAIの回答が表示されるようになりましたよね。
「AIによる概要」というものです。
▼こういうやつ

これ、単なるデザイン変更じゃないんです。
実は私たちWEBマーケターにとって、かなり深刻な事態が進行しています。
ここにAhrefs社による衝撃的なデータがあります。
※Ahrefs社: Ahrefs (エイチレフス) は、SEO・AI検索・コンテンツ・ソーシャルなどの各分野における世界最大級の分析ツールを提供する企業
- 検索順位1位のクリック率(CTR)が39.8%から3.9%へ激減(約10分の1)
- 情報収集型キーワードでのCTRが平均34.5%減少
- 検索全体の58.5%(米国)がクリックせずに完結する「ゼロクリック検索」に
参考: 「AI トラフィックはこの 1 年で 9.7 倍に増加」
このデータが意味することは?
長年信じてきた「検索上位表示 = トラフィック獲得」という方程式が、もう通用しなくなっているんです。
SEO施策に予算をつぎ込んで、やっとの思いで検索1位を取っても、サイトをクリックせず、AIOverviewで答えを得て、そのまま離脱してしまう。
2025年の検索は、そういう世界になってしまいました。もう昔に戻ることはありません。
本ブログでは、この新時代に不可欠なAIO(AI Optimization / AI Overview)とAEO(Answer Engine Optimization / AI Engine Optimization)という2つの概念を解説し、今から取り組むべき戦略をお伝えしていこうと思います。
第1章:AIOとは何か?2つの意味を理解する
本章ではAIOとは何か、について説明していきますが
実はこの用語、2つの異なる意味があります。
まずは両方を正しく理解することから始めていきましょう。
1-1. AI Overview(AIによる概要)
これはGoogleが検索結果の最上部に表示する、AIが生成した回答のことです。
AI Overviewは、GoogleがSGE(Search Generative Experience)から進化させた新機能です。
以前は「SGE(Search Generative Experience)」と呼ばれてましたが、正式版としてリニューアルされました。
2024年5月にアメリカで導入され、日本でも2025年3月から本格的に表示されるようになりました。
(今では月間20億ユーザー超という規模のようです)
従来の検索とどう違うのか
これまでのGoogle検索って、こんな感じでしたよね。

検索すると、青いリンクが10個くらい並ぶ。
上から順にクリックして、複数のサイトを訪問し比較検討する。
でもAI Overviewが出てくると、話が変わります。
複数の情報源から情報をかき集めて、一つの包括的な回答として提示してくれるんです。
ちょっと具体例を見てみましょう。
従来の検索
- ニュースサイトやまとめサイトのリンクが並ぶ
- 各サイトをクリックして内容を確認
- 3〜5サイトくらい見て情報を収集する
こんな感じでしたよね。
じゃあAIOverviewなら…?
AI Overview
「SEO」「コンテンツマーケティング」「SNS」のように特徴ごとに分類された概要が表示される
各カテゴリーの概要が記載され、ユーザーはクリックせずとも、「網羅的な情報を得ることができた」と感じ、満足して離脱する。
▼実際に表示されるAIOはこちらになります。

これがトラフィックの激減理由です。
データで見るAI Overviewの破壊的インパクト
ここに(何度も引用してますが)Ahrefsの調査結果があります。
AI Overview導入前後のCTR(mクリック率)変化(情報収集型キーワード)

AI Overviewの導入後、クリック率が急激に悪化していることがわかるかと思います。
特に情報収集型のキーワード(「〇〇とは」「〇〇 方法」など)では、検索1位でさえCTRが約10分の1に激減しています。
影響を受けやすいクエリタイプ
すべての検索クエリが同じように影響を受けるわけではありません。特に大きな打撃を受けているのは
- 情報収集型(Informational)
「AIOとは」「マーケティング 方法」
ユーザーは知識を得たいだけで、特定のサイトを求めていない
= AI Overviewで完結しやすい
- 比較検討型(Commercial Investigation)
「CMS おすすめ」「SEOツール 比較」
複数の選択肢を一覧で確認したい
= AI Overviewが候補をまとめて提示
影響を受けづらいタイプ
- トランザクション型(「〇〇 購入」「〇〇 申込み」のようにECやサブスクサイトなど)
- ナビゲーション型(「Apple」など 特定ブランド名での指名検索)
= 特定のサイト訪問を明確に意図していることから
つまり、多くのコンテンツマーケティング記事が狙う情報収集型キーワードが、最も深刻な影響を受けている、ということになります。
1-2. AI Optimization(AI最適化)
もう一つの「AIO」
AI Optimizationは、ChatGPTやPerplexity、Google Geminiなどの生成AI(LLMs)や検索AIに自社コンテンツを引用・参照してもらうための最適化施策を指します。
従来のSEOが「Googleの検索アルゴリズム向けの最適化」だったのに対し、AIOは「AI(大規模言語モデル : LLMs)向けの最適化」です。
▼SEOとAIOの本質的な違い

SEOとAIO(AEO)には、このような違いがあります。
「とは言っても、そんなにAIトラフィックが増えているようには思えない」
その認識も現時点では正しいです。
現時点では。
2025年現在、生成AI検索経由のトラフィックはトラフィック全体の0.17%と僅かです。
が、前年比では+280%という脅威的な成長率を示しています。
(またもや)Ahrefsの調査によれば、過去1年間でサイトの平均検索トラフィックが約21%減少した一方、AIトラフィックは約9.7倍に増加しました。
▼画像引用

引用元: 「AI トラフィックはこの 1 年で 9.7 倍に増加」
マーケター視点での重要性
現時点でAI検索からのトラフィックは小さいものの、早期対策が競合優位性を生む決定的な要因になります。
つい先日OpenAIが自社製Webブラウザ「ChatGPT Atlas」を公開しました。
私も実際に使ってみましたが、”エージェント機能を誰でも当たり前のように使用する世界” が来ることを確信する結果となりました。
AIエージェントは「人間が指示した命令を人間の代わりに、いい感じにまるっとやってくれる」機能です。
例えば「渋谷のおしゃれなレストランを、来週の日曜日夜に予約して」と指示することで、
いい感じにお店を調べ、お店のサイトや食べログなどのアグリゲーター経由で予約してくれる、こんなことも可能です。
これが当たり前になると
「AIに対してわかりやすいウェブサイトであること」がより重要になるのではないでしょうか。
人間による検索割合は減少し、代わりにAIによる検索が増加する
こうなった世界では「人間にとって最適」よりは「AIにとって最適」であることが求められます。
「AIにとって最適」とはどういうことでしょうか。
それは、AIが参照しやすい情報であり、AIにとって理解しやすい情報設計がなされていること です。
やっとつながってきましたね。
これが「今AIO(AEO)に取り組むべき理由」です。
なぜなら…
- 先行者利益が大きい▶︎AIの学習データとして早期に認識されれば、継続的に引用される可能性が高い
- 競合が少ない▶︎まだ本格的にAIO対策を行っている企業は少数
- 指数関数的成長▶︎AIツールの普及は加速度的に進む
SEOが「Google一強時代」に最適化されていたように、これからはAI時代への最適化が求められるのです。
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ということで、一旦前編が終了です。
続編の執筆も進めておりますので、また覗きにきていただければと思います。
aradasではAI時代のWEBサイトの在り方について模索し続けています。
お困りの方、課題を感じていらっしゃる方がおりましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
それでは